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                                 静岡県自閉症協会
                                  会長 津田明雄
 本年5月の総会で会長を担当することとなりました。よろしくお願い申し上げます。

 さて、当協会は自閉症という特性を持つ人が、地域で幸せに暮らしていくことができるような社会にしたいと考え、さまざまな問題に取り組んでいます。

 自閉症は早期発見、早期療育が大切と言われていますが、こどもの発達の遅れが、誰にでもある発達のバラツキなのか、自閉症などの発達障害であるのか、通常の関わりでよいのか、本人に合った何らかの対応をした方が良いのかなどがわかりにくく、専門医や専門家でなければ適切な診断や支援を行うことが難しいケースが少なくありません。家庭においてもどのように子育てをしたらよいのか、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、専門学校、そして就労や施設利用などさまざまな場面において、本人は一生懸命に取り組んでいるのに、周りの人と感じ方、受け止め方、理解の仕方などに違いがあるために、つらい思いをすることがあります。

 しかし、よく考えてみれば、人はそれぞれ違いがあり、それぞれが持っている得意な力を発揮することで社会が成り立ち、発展してきました。自閉症もそのような人が持って生まれた特性の違いであると考えることができます。足が速い人、遅い人、数字に強い人、弱い人、社交的な人、人づきあいが得意ではない人、手先が器用な人、考えることが好きな人など、本当にいろいろな人がいることが分かります。

 人の性質の違いについては、どちらが良いということではなく、それぞれの人が持っている長所を生かすこと、弱いところがあれば、そこを助け合うこと、支え合うことなどが大切で、補助具(例えば、目が悪ければメガネ)などを使うことことも有効です。本人を理解することが大切ですが、自閉症は外見ではわからず、言葉の発達についても遅れが感じられない人がいるため、自閉症という特性を持っていることに気づかれず、本人の努力不足と思われて言葉で何度も指示がされてつらい思いをさせられたり、親の教育が悪いと思われてしまうこともあります。

 最近では、自閉症という特性を持つ人と、そうではない人の間には明確な線はなく、連続しているということが知られるようになり、自閉症スペクトラム(注1)という言葉が多く使われるようになり、この特性を持った人は少なくないことも知られるようになりました。

 文部科学省の調査でも、通常の学級に発達障害の可能性のある人が6.5%程度在籍していることが分かり、特別支援教育の取り組みも行われるようになっています。

 静岡県自閉症協会は、同じ悩みを持つ親が集まり、専門家の協力もいただきながら、情報交換を行い、力を合わせて自閉症の理解を社会に広め、自閉症の人が社会の中で、その持てる力を発揮して、いきいきと生きていけるようにしたいと考え、医療、教育、福祉、余暇、生活などさまざまな場面における問題の改善に取り組んでいます。

 みなさまのご理解とご支援をいただきますようお願い申し上げます。


(注)自閉症スペクトラム
 昨年の5月に米国精神医学会は精神疾患の診断・統計マニュアルを改訂し(DSM−5)、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などの分類を自閉症スペクトラム障害(自閉スペクトラム症)という一つの診断名に統合しました。一方、世界保健機関にも診断基準(ICD−10)がありますが、こちらには自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などの分類が現在でも使われています(見直し作業が行なわれています)。いろいろな名称があり、分かりにくい面がありますが、いずれも社会性、コミュニケーション、興味の狭さ、こだわりなどに特徴があります。